覚悟はいいですか

プロジェクトそのものは社内会議で認められ、テスト部署と試用期間についても
上層部の承認を得ている
だから非協力的な部長は、私たちからすれば仕事を放棄してる
本人は自分の苦手なことをやりたくなくて、「わかりにくい」とかなんとか
理由を付け、このプロジェクトを潰したいんだろう
魂胆が見え見えだ

試用期間中に実績を上げなければ、確かにこの案件は消える、ある意味、さすがだ。
しかしこちらは困る。このままでは埒が明かない

相手は「わからない」という堅牢な城に閉じこもっている
ならば内側に入り込むしかない

「よし、OJTを根本から見直そう!」

「今更?本気ですか!?」

久美子が噛みつく。わかるよ、でもね……

「相手は機械音痴の佐伯部長。そこにいくら便利さだけを訴えても
向こうは反発しか感じないんじゃないかな。

『やって見せ、言って聞かせてさせてみて、ほめてやらねば人は育たず』

パソコンが「わからない」人にわからせるなら、そのくらいの覚悟でないと。
久美子、一から新入社員を育てるつもりでもう一度OJTを見直してみよう」

「新入社員?部長が?マイガッ!!」

久美子が両手を上げて叫ぶ。みんなが思わず噴き出した。ほんといいキャラしてる!

「時間も無いことですし、久美子さんは紫織さんと一緒に、見直しと資料作成に集中してください。その間の仕事は私と理恵ちゃんが引き継ぎます」

円香、頼もしい‼

「理恵ちゃん、できる?」と私が聞くと
「月末の準備ですよね?がんばります」
うんうん、がんばれーo(*≧∀≦)ノ

それまで天井を見ていた久美子が、突然課長を睨む

「課長、営業部と掛け合って木曜か金曜に時間を作ってもらってください。
一時間でいいです。ただし、営業部社員全員ができるだけ参加できるようお願いします」

「えっ、社員も・・・」

「はい、情報伝達をトップダウンじゃなく、一斉に流すことで確実に尚且つ一度に理解者を増やします。今までの遅れを取り戻せるし、営業さんたちが納得すれば部長に対しての援護射撃にもなると思いませんか。」

久美子もエンジンがかかったようだ


だが次の台詞は予想外だった

< 60 / 215 >

この作品をシェア

pagetop