覚悟はいいですか
「OJTの間、紫織さんは華になって部長についてフォローしてください」
「片平君!」
松本課長が目を見開いて、首を振る
「そこまですることでもあるまい」
「あくまで保険です」
久美子が私から目を逸らさずに言う。その目に並々ならぬ決意をにじませて。
保険、ね……その目を見ながら考えた
確かに華であれば確実に墜とせる
あとあと問題になるかも、でも社内に限るし、何よりこれまでの皆の頑張りを無駄にしたくない……
ん、久々だけど、わたしも頑張ってみるか!
「わかった、但しあ・く・ま・で保険で。
OJTの成功は貴女の頑張りにかかってるからね」
「紫織さん!」「山口君!!」
久美子と課長が対称的な声音で呼ぶ
「あくまで必要に応じて、今回に限りです。部長の立場を慮った対応を心掛けます。で、いいのよね?」
「はい」
「ほんとにいいんだね?山口くん」
課長、大丈夫ですよ。このプロジェクト、潰すわけにはいきません!
「はい。」
最後の会話は、2年目の円香と新人の理恵ちゃんにはわからないだろうが説明するつもりはない
「では、まず引継ぎから。見直しは午後一から打ち合わせしようか?」
「「「ハイ!」」」
「では、始めましょう!」
さて、忙しくなりそうだ