覚悟はいいですか

営業から木曜日の終業後なら、全員とはいかないが参加できると返事が来た

「松本課長、やればできるじゃないですか~」

みんなでツンツンしながらほめると、課長は「それほどでも~」とニコニコで頭をかく。ほんと、いい人!!

久美子と私はミーティングスペースでの作業が多くなった
パワーポイントの資料をさらにわかりやすくして、そこから使い方に絞ったシートも作成
全部員に配布して、最悪、操作を覚えてなくてもシートを見ながらできるように工夫した
パソコン初心者向けの想定でQ&A集を作り、各課に置くことにした
(久美子は「ありえない~」とさんざん文句を言ったが)


水曜日の終業直前、明日の配付物を確認をしながら、さりげなく久美子が話しかける

「紫織さんは明日、部長をどうやって丸め込むんですか?」

「丸め込むって・・・穏やかじゃないわね」

私は笑いながら、何となく次の質問を予感していた

「もう華には戻らないんですか?」

「……」

「私、憧れてたんです。華のなかでも滅多にない、華の剣の紫織さんに」

「久美子は華になりたいの?」

「はい!だから紫織さんが受け入れてくれて、すごく嬉しいです。憧れの華の剣、しっかり見させて下さいね」

「見させてって、見せ物じゃないわよ。
それより久美子こそ、明日のプレゼン、しっかり気を抜かないでね。部長の目を向けさせても、提案に魅力がなければ意味がないわ」

「それこそ、お任せあれ!ですわ」

顔を見合わせ、笑い合う

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