覚悟はいいですか
本当に大丈夫だろうか、なにか起きれば今度こそ裁判沙汰になり、また会社に迷惑をかけてしまうかも・・・

ところがそんな私の逡巡をぶっ飛ばすことを麗奈が言った

「腹をくくりなさい!
あんたが華として私と一緒にパーティーを仕切ることは決定事項なの

Athenaの剣と盾のお披露目を50周年パーティーの裏の柱にしたいと会長はお考えなのよ」

「ちょっと待って!仕切りとか柱とか、何かいろいろすごいプレッシャーなんだけど‼」

「なにびびってんのよ。華の剣は攻撃的破壊力が売りでしょうが」

「いやいやいや、引退してからブランクあるし、来月までに仕切りって、どう考えても無理でしょ!?」

「引退したと思ってるのはあんただけよ」

「でも・・・「四の五の言わず戻って来なさい!」」

麗奈が拳をカウンターにドンッと叩きつけ、凄んだ

店内がシーンとなり、バーテンダーが何事かと顔を覗かせる

私はいたたまれなくなったが、当の麗奈はどこふく風
こちらをじっと睨みつけたまま逸らさない

酔ってるのかと思ったが、そうではなかった

少しずつ店内のざわめきが戻り始めたところで、カウンターから声がかかる

「お客様、どうかされましたか?」

「なんでもありません。ごめんなさい」と私

「角(すみ)さん、同じのおかわり!」

麗奈は平然とウイスキーのロックを注文した
相変わらず男前だなあ・・・


再び琥珀色の液体を満たしたグラスを傾けながら、麗奈がはっきりと告げる

「戻ってきなさい。
あんな男にいつまでも縛られてないで。
今度こそあんたには指一本触れさせないから。
あんたの盾をあたしが引き受けるから。」

「麗奈、それって・・・」

「会長には次姫(じき)がつくわ。これも会長が言い出したことなのよ。
大丈夫、ガーディアンもいるし、守りは私達に任せて、あんたは全力で剣を振っていいから」

咲き誇る薔薇のような笑みを見せて言う麗奈に、私はまたまた逃げられない運命を悟る

「バックアップは秘書課総出でつくわ。ついでに彼女たちの指導もお願いね」

さすがただでは起きない麗奈さん、ついでに自分の面倒事をサラッと押し付けて・・・
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