覚悟はいいですか
「京極さん、情報が全然足りません」

何を言い出すのかと秘書たちが顔を見合わせている

麗奈はフフっと口角を片方だけ上げ、わざとらしく聞いてきた

「どんな情報かしら?」

わかっててやってるわけね!

麗奈をひとにらみしてから、必要事項を述べることにした

「まずうちの社員の情報をください
取り敢えず今回レセプトに参加する事業開発部、営業三課、企画部の全員分を。
但し、履歴はもちろん過去の実績と今現在関わってる業務内容、あとプライベートについてもできるだけ詳細なものをお願いします」

秘書たちが一斉に眉を寄せたが構わず続ける

「ゲストもこれじゃ情報不足です。各業界のトップに関しては直前まで情報を集めて、最新のものを。わかる範囲だけでも、関わった全ての取引を把握したいわ」

言わんとしたことが解ったのだろう、秘書達の目がこれ以上ないほど見開かれ、口は半開きだ

情報はビジネスを征す
トップに近い人ほど、扱う仕事は多岐に渡り、移り変わりも激しい
しかも影響力が大きいから、相対するには最新の情報を知ることが必須だ

一方で、社内の情報も大切
同じ話をしても人によって感じ方が違う
相性がいい相手なら、仕事はスムーズに運びやすい

だから最も効率よく確実に交渉が進むよう、双方の情報を
ーー学歴、職歴、実績から仕事の傾向などビジネス面と得意と苦手、人と為り、家族構成や趣味などプライベートまでーー
飲み込み、咀嚼して、ベストの相手にベストの形で引き合わせる、

それが今回の私達の役割、でしたよね?

< 85 / 215 >

この作品をシェア

pagetop