DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
さよ子の白い手が目の前に見えた。
視線を上げると、さよ子は見えもしないんだろうに、どういうわけか正確におれの喉を両手でつかんだ。
爪が皮膚を突き破る。
殺される。
払いのけようとした。
おれはバランスを崩して、仰向けに倒れた。
華奢な女の子っつっても、全身の力を乗せて首絞めに掛かったら、すっげー重いし苦しいのな。
爪が食い込んでくる。
このままじゃ、窒息するより先に血管をやられるだろう。
あー、人間って、こんな簡単に死ねるんだ。
意識が真っ白くなっていく。
クエストの途中だったのにな。
ゲームオーバー寸前だよ。
リセットできねーしな。
ゲームマスターに降参って伝えとくほうがいいかな。
【おっちゃん、聞こえる? そっち届くように話してるつもりなんだけど、届いてなかったらゴメンで、とりあえず話すけど。
さよ子ちゃん、抜け殻だ。動く死体状態。リビングデッド。これ、おっちゃん的にはアウトだよね? 少なくとも、おれ的にアウトだし】