DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―


地面が揺れた、と思う。


それも、けっこう激しく。



震動のせいだろう、さよ子の体がぺしゃんと、おれの上に落ちてくる。


首に掛かっていた力が消えて、息が喉に通る。


おれはまた咳き込んだ。



意識が少しハッキリした。



【ねえ、おっちゃん、聞こえたんでしょ? さよ子ちゃん、もうおっちゃんのことわかんないよ。

両目ともなくなってる。心もどっか消えちゃったよ。これって、ジ・エンドだよね?】



答えが届いた。


猛烈な音と風と光が激流になって押し寄せてきた。



実際には何も聞こえなくて、空気も動かなくて、蛍光灯が次々と消えて闇が迫った。


でも、押し寄せてきたそれは確かに、音と風と光の激流のように感じられた。


途方もないエネルギー量の思念だ。



地面が揺れた。天井が唸った。壁にひびが走った。


今度は凄まじい音がした。


音はどんどん大きくなる。


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