DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
「いつ帰国したんだ?」
「昨日だよ」
「体、きついんじゃないか?」
「それなりにね~。でもまあ、許容範囲。ところで文徳、背ぇ伸びたね。おれと変わんないじゃん」
「この半年くらいで急に伸びた。部室で身長の話をすると、弟の煥《あきら》がむくれるから、おもしろいけど面倒くさいぞ。
あいつも平均よりちょっと上なんだけど、バンドの中ではいちばん小さい」
「ベーシストの女の子、亜美ちゃんだっけ? あの子もけっこう身長あるもんね」
噂をすれば何とやら。
廊下の角を曲がって軽音部室のドアが視界に入ると、ちょうどそこにベーシストのイケメン風長身女子の姿があった。
亜美って名前の彼女は、文徳の幼なじみで恋人だ。
っつっても、文徳以上に亜美はサバサバしててサラッとしてて、二人が恋人っぽいことしてるシーンはまったく想像できない。