DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
「遅いよ、文徳。鍵、開けて。そちらは、長江だっけ? 前、ストリートライヴでちょっと話したよね。久しぶり」
「うん、久しぶり。今日はちょっと練習を見学させてもらうから、よろしく。文徳の弟くんに会ってみたくてね」
「煥ね、気難しいとこもあるけど、根は素直だよ。あいつの歌も聴いてみてほしい」
文徳が鍵を開けてドアを開けて、おれたちは軽音部室に入った。
防音壁の小さな部屋だ。
アンプ、ドラム、シンセサイザー、スタンドマイク、譜面台、丸椅子、ホワイトボード、古めかしいCDラジカセ。
この学校の軽音部にはたくさんのバンドが所属していて、部室は二つある。
そのうち小さい部屋は、軽音部内のライヴバトルで優勝した人気と実力ナンバーワンのバンドが占領する。
大きい部屋は、その他のバンドのたまり場と化しているそうだ。