DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
だてにヴォーカリストやってるわけじゃねぇんだな。
異能じゃなくても、チカラのある声なんだ。
おれは異能としての声を持っていても、美声だなんて誉められた試しはない。
チラッと胸に起こった嫉妬を、おれは握りつぶした。
【おや~? 四獣珠の話、バンドメンバーに聞かせちゃってもいいわけ?】
「かまわねえ。亜美さんも牛富さんも雄も、代々、白虎の伊呂波家とつながりのある家の生まれだ。オレたちは幼なじみで、みんな、ちゃんとわかってる」
「そーなんだ。気ぃ使ってみたのに、ビミョーに損した気分。てか、仲間がいるんだ。うらやま~」
いや、割と真剣に、うらやましい。
おれは姉貴に守ってもらってばっかで、朱獣珠のこともチカラのことも他人に知られちゃいけないって、人付き合いを避けてきたし。