DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
煥はまだ、ひどく冷たい視線をおれに向けている。
胡散《うさん》くさいって思ってんのが顔に書いてある。
そりゃそうだな。
いきなり現れて「信用しろ」なんて、気持ち悪い話だ。
おれはカッターシャツの襟ぐりから指を突っ込んで、肌のすぐ上に付けたペンダントを引っ張り出した。
ありふれたシルバーチェーンはすぐにくすんで傷むのに、ペンダントトップは汚れも濁りもしない。
朱く透き通る宝珠。
それを守るように巻き付いた、金とも銀ともつかない輝きのメタル。
触れれば、鼓動と体温と思念が宿っていることが感じられる。
「こいつ、おれの宝珠。本物ってわかるでしょ?」
目を見張った煥が答えるよりも先に、ドクンと、煥の胸で宝珠が脈打つ気配があった。
おれの指先で、朱獣珠がなつかしそうに、気配だけでそっと笑った。
――久しいな、白獣珠よ。