DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―


おれは、さっきから胸のあたりが騒いで仕方がない。


朱獣珠が暴れてんだ。そのはずだ。



でも、鈴蘭が煥の前に立ったときに戸惑うって言ってたのが、今ならおれにもわかる。


ドキドキザワザワしてんのは青獣珠なのか自分の心臓なのか、自信がなくなるんだって。


おれも今、似たような状態だ。



姉貴がどことなく弾んだ笑顔と声で、海牙としゃべっている。


海牙も笑顔で、まっすぐに姉貴を見て、言葉を返している。


美男美女っすねー。


そこだけ世界が違うんじゃないかってくらいキレイな光景で、お似合いで。



おかげで、おれは胸の中がどうしようもなくざわついている。



薄々わかっちゃいたんだけど、おれって、かなりシスコンだな。


姉貴に近付く男がいたら無条件で敵視するとか。



ダメじゃん。バカじゃん。


仕切り直せよ、感情。


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