DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―


胸の上で、ペンダントトップの朱獣珠がおれの言葉に呼応して鼓動した。


重なり合ういくつかの声を感じた。



――因果の天秤に、均衡を。



四つの宝珠の声だったんだろう。


条件反射みたいに、海牙は胸元に手を触れた。



「玄獣珠が断片的に提示する情報から推測するに、均衡を取り戻さなければならない状況がすでに現出しているんですよね。

因果の天秤とやらが傾いてしまったのはなぜなのか、きみは知っていますか?」


「たぶん知ってる。というか、SOS出して四獣珠を集結させたの、おれの朱獣珠だと思うんだ。

宝珠は互いに近寄っちゃいけないっていう基本ルールを守ってらんないくらいの危機的状況に、朱獣珠はずーっと置かれてたからさ」


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