DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
海牙は、笑うのとは違うやり方で目を細めた。
「情報交換が必要でしょうね。ぼくたち四人それぞれ、持っている情報の質や量が違いすぎます」
「そーだね」
この後は時間ある? と、おれは訊こうとした。
それが途中で阻まれた。
さよ子が鈴蘭の手を引っ張って、にぎやかに声を上げながら、こっちへ走ってきた。
「もーぅ、海牙さん! そんな端っこにいたら、ボディガード頼んだ意味がないでしょ!
ほかの屈強なおにーさんじゃなくて海牙さんを指名したのは、海牙さんだったら高校生の中にまぎれ込んで目立たないからなんですよ!」
鈴蘭が目を白黒させた。
「さよ子、えっと……この人は知り合い?」
「阿里海牙さん。うちに下宿してるの。パパ関連の人」
「なるほど。さよ子の家、大豪邸だもんね」