DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―


「この犬の人も異能使いなんです」


「人?」


「はい、人です」


「だよね。何か、中に人が入ってる感あるもんね」


「どちらの姿を取ることもできる、というチカラなんですよ。屋敷の警備の仕事をするときは、犬の姿でシフトに入ることも多いかな。普段は人間の姿で過ごしてますけど」


「海ちゃんにしてもそうだけどさ、総統のおっちゃんのとこには、変わった人が多い感じ?」



犬のおにいさんは喉の奥のほうで笑った。



「この屋敷にいるのは、変わったやつばっかりだよ。チカラが使えるやつだったり、その血筋だったり」


「何で? そーいうの、許されんの? チカラが一ヶ所に集まってるのは危ういことだって感じちゃうんだけどさ、おれ」



朱獣珠がおれの言葉に応じるように熱く鼓動した。


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