DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―


「長江家も豪邸だと聞いていますが」


「こんなにセンスよくないわよ。敷地も狭いし。一桁も二桁も、格が落ちるわ。でも、KHANの経営者は本社ビルのそばの高層マンションに住んでるって噂があるけど」


「そちらにも、総統のお住まいはありますよ。市外にも数ヶ所。総統は一つの場所に定住できない体質なんだそうです。

最近は、襄陽学園に比較的近いこの屋敷にさよ子さんが引っ越してきたので、総統も奥さんもここにいることが増えていたんですけど」


「昨日はいらっしゃらなかったのね?」


「いらっしゃってたら、こんな面倒くさい事態、きっと防げたはずですね」



海牙は盛大にため息をついた。



すげーデカいお屋敷にお邪魔します状態の割に、おれたち一行、誰もビビってはいない。


そりゃそうだ。ちょっと検索をかけるだけで、伊呂波家も安豊寺家も古くからの資産家だってことが判明する。


ここまでの豪邸じゃないにせよ、お屋敷は見慣れてるんだ。


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