DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
おれは、笑ったまんまの顔を自覚した。
頬が冷えてこわばっている。
「何をそんなに話し込んだんだよ?」
迷うような間が落ちる。
文徳は、話すべきかどうかを迷ったんじゃなくて、話す順番を迷ったんだろう。
おれは何となく、そう感じた。
文徳は言った。
「長江さんはさ……理仁の親父さんのこと、とりあえずそう呼ぶことにしたんだけど、
長江さんは、しょっちゅう奥さんのお見舞いに行ってるって。でも、理仁やリアさんがいるときは、病院のスタッフに挨拶だけして帰るんだって」
「へえ。何それ。あいつ、おれらのこと避けてんの?」
「避けてるし、逃げてる。でも、めちゃくちゃ後悔してたよ。子どもたちが家出したのは自分のせいだ、自分は教育者失格なのに学園を経営している矛盾した人間だ、って」