DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
「言っちゃったんだ。すげー」
「長江さんとお会いするチャンスはそう頻繁にはないだろうと思ったので」
「姉貴にはまだ何も言ってないんでしょ?」
「言ってませんよ。でも、ぼくは本気です。長江さんから殴られても仕方ないって覚悟だったし」
「殴られた?」
海牙はかぶりを振った。
夏だってのに白い顔に、淡い苦笑いが浮かんだ。
「頭を下げられました」
「うちの娘をよろしくって?」
「ええ。自分には父親らしいことをする資格がないから、だそうです」
「してんじゃん。海ちゃんに頭下げるとか。そんなやり取り、姉貴が知ったら激怒するよ」
「そうですね。リアさんには言えません。でもまあ、ぼく自身の目的は果たしました。後顧の憂いは絶ったことだし、あとは前に進むだけです」