DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
死体が残らない死に方って悪くないように思うんだけど、どうだろ?
だってさ、おれはさ、姉貴の死体、どうしようもなかったからさ。
ストリートライヴの時間は心地よく流れていく。
音楽がほどよく頭ん中を掻き混ぜて、難しくない程度に考え事をさせてくれる。
つらつらと、思い出したり思い付いたり、唐突に寂しくなったりむなしくなったり。
気付いたら、終わりの時間が訪れていた。
文徳が終演の挨拶をして、あっさりと楽器を片付け始めた。
解散して立ち去るオーディエンスと、文徳たちに声をかけるオーディエンスと、人の流れができる。
帰ろっかなって思ったら、文徳が人の頭越しにおれに手を挙げて、「こっち来いよ」とジェスチャーした。
人差し指の爪がキラキラする。
おれは肩をすくめて、人垣のほうへ歩き出した。
【は~い、ちょっとそこどいて~】
人垣が割れる。おれから文徳のところまで、まっすぐ。