DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
「よぉ、文徳。久々に聴けてよかったよ。いい気分転換になった」
「そう言ってもらえると嬉しい。でも理仁、げっそりしてるぞ。時差ボケか?」
「寝てないし食ってないし、こんなんで絶好調だったら、むしろおかしいってね。姉貴が死んでからこっち、ボロボロだゎ。文徳も、人のこと言える顔じゃねーぞ?」
「まあ、似たようなもんだな」
「ベーシストちゃんがいなくなったんだっけ?」
「ああ。たぶん死んだ」
鏡を見てるような気分になった。
不健康な色の外灯の下で、力なく笑った文徳は、目の下も頬も肉が落ち切っている。
文徳の隣で、煥が金色の目をきらめかせておれをにらんでいた。
額の胞珠が淡く発光しているように見える。
おれの胞珠も、他人から見りゃ、あんな感じなんだろうか。
号令《コマンド》のチカラで【どいて】っつったけど、当然ながら煥はそこに仁王立ちしたまま動かなかった。