DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
さよ子は、おれから受け取った朱獣珠を目の前にぶら下げると、ムッと唇を尖らせて言った。
「約束どおりの展開になりましたよ。キッチリ痛い思いをして差し出しました。
これで願いと代償の契約、完了しましたよね。だから、この先、絶対に引っ繰り返したりしないでくださいね」
朱獣珠は相変わらず、ゆっくりしたリズムで鼓動するだけだ。
さよ子の言葉が聞こえてるんだか、聞こえてないんだか。
さよ子はおれに朱獣珠を突き返した。
おれはもとのとおりペンダントを首に掛けながら、顔からも指先からも血の気が引くのを感じていた。
「今のは、あのときの話?」
いつの間にか、あれはもう十ヶ月以上も前の出来事になっている。
地下駐車場での、親父との対決。親父から宝珠を引き離すことに成功した一件。
さよ子が、その成功を願ってくれたこと。