DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
さよ子は、チョコレートケーキを思いっ切り大口で頬張って、わざと行儀悪いふりをするみたいにモゴモゴと言った。
「今のおまえが大事に思ってるものを三つ持っていくって、それが代償の条件だったんです。
わたし、顔とか体型には割とコンプレックスが強いんですけど、髪と肌だけは我ながらキレイだなって思ってて、それを持っていかれちゃって」
「髪と、肌も?」
「胸とお尻と内ももと足の甲。普通にしてたら、外から見えないあたりなんですけど。
寝込んでた間、ただれたようになっちゃって、べちゃべちゃの炎症が引いてからも、痕が残ってるんです。やけどの痕みたいに」
だから、プールや海水浴は来なかったのか。
花火大会も浴衣《ゆかた》じゃなくて夏物の和服で、足袋《たび》までキッチリ履いてたのは、素足になれなかったから。