DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―


「ごめん。ほんと、ごめん」


「先輩が謝る必要ないですってば」


「だけど」


「それでですね、もう一つ持っていかれたのが、煥先輩です。煥先輩、鈴蘭と付き合うことになっちゃった。

朱獣珠に失恋宣告されてたから、絶対に両想いになれないってわかってたのに、吹っ切れることができなくて。結局、今、すっごい大ダメージです」



願いの代償としての失恋。


それに似た話は、古文書にも昔話にも残されていた。



運命は分岐の可能性に満ちていて、本来なら、さよ子と煥が結ばれることも起こり得ただろう。


朱獣珠が奪ったのは、未来がその方向へ分岐し得るチャンスそのものだ。


煥の心を操ったとか誘導したとかじゃなくて、作用した相手は運命の一枝。


< 391 / 405 >

この作品をシェア

pagetop