DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
「ごめん。ほんと、ごめん」
「先輩が謝る必要ないですってば」
「だけど」
「それでですね、もう一つ持っていかれたのが、煥先輩です。煥先輩、鈴蘭と付き合うことになっちゃった。
朱獣珠に失恋宣告されてたから、絶対に両想いになれないってわかってたのに、吹っ切れることができなくて。結局、今、すっごい大ダメージです」
願いの代償としての失恋。
それに似た話は、古文書にも昔話にも残されていた。
運命は分岐の可能性に満ちていて、本来なら、さよ子と煥が結ばれることも起こり得ただろう。
朱獣珠が奪ったのは、未来がその方向へ分岐し得るチャンスそのものだ。
煥の心を操ったとか誘導したとかじゃなくて、作用した相手は運命の一枝。