傷だらけの君は


いつの間にか雨が降ってきたようで、雨粒が地面に落ちる音と鋏の音が同時に耳に入ってくる。


もっと派手な音がすると思っていたけど、鋏から繰り出される音が心地いいのは沖田さんだから?



……眠くなってきたなぁ。


沖田さんは集中しているのかずっと口を閉ざしたままだったけど、思い出したように声をかけられた。



「痛くない?」


「……大丈夫です」


「あれ寝ようとしてる?寝ないでよ」


「そうですよね、すみません……切ってもらってる立場なのに」


「やりにくいからだよ」


そう、やりにくい。


なんでこんなに眠いんだろう。



……あ。昨日まともに寝てないからだ。




それでもなんとか頭を揺らさないように、

すればするほど眠気が襲ってくる。



寝たらだめ、寝たらだめ……寝たい。


ものすごく眠たい。




「ほんともう、手間のかかるやつ……」


そのときだった。なにかに包まれたのは。


少し遅れて、沖田さんがあたしの前側に移動してきてくれたのだと気付く。


後ろからは依然、髪を切る音する。


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