傷だらけの君は
「いいよいいよ。少なくとも俺は紅の感情が成長してくれて嬉しいよ」
やっぱり藤堂さんは優しくて、あたしの成長を一番顔に出して喜んでくれているのも藤堂さんだった。
「いつか一緒にお団子買いに行こうね」
「......はい」
控えめに言ってくれたのは、あたしが外に出てはいけないことを知っていたから。
土方さんがあたしに外に出るなって言ったのは、逃げられたら困るから?
それとも他になにか、違う理由があるのだろうか。
「おーい紅ーお前にお客さんだぞーう」
考え込んでいたところに、廊下の向こうから原田さんが手を振りながらやってきた。
どしどしと一歩ずつ踏みしめられて、床が悲鳴をあげていた。
そのうち床板を踏み抜きそうだなとは思っていても絶対口には出せない。
「お客さん?」
誰か怪我をした人でもいたのだろうか。
そんな原田さんの後ろを見てあたしの心臓がどきん、と大きな鼓動を鳴らした。
......あの日から目を背け続けていたけれど、考えなかった日なんて一日もなかった。
嘘であってほしいと何度も願った。
それでも、きっとあの日言われたことは真実なんだろう。
「......父様」
果たしてこう呼んでいいのかも分からないけれど、久しぶりに見る父様は酷く笑っていた。
「会いたかったぞ、紅」