傷だらけの君は
父様の数歩後ろをついて歩く。
隣に並ばないかと言われたけれどあたしは首を横に振った。
後ろを振り返ると屯所はすでに見えなくなっていて、あたしの心をますます不安にさせる。
「あの......あたし、戻らないと......土方さんに怒られます」
「だからさっきも言っただろう。あの男に話はつけてある」
少し散歩しないか、と父様があたしの手を取ったとき藤堂さんと原田さんは止めようとしてくれた。
いくら父親であっても言いつけを破ることは許されないからって。
『大丈夫だ、おたくの副長に許可はもらっている』
そう言ってあたしを屯所から連れ出した父様は、一体どこに行くつもりなんだろう。
さっきからただ町を歩いているだけで、......あの家に帰る様子もない。
「紅よ、町を歩くのは久しぶりだろう」
「......はい」
「何か買ってあげたいところだが、あいにく持ち合わせがなくてな」
あたしはまたかぶりを振った。
町を歩くのは父様の言うとおり、久しぶりだった。
万屋に甘味処、八百屋に骨董屋。
今のあたしにはそれらを楽しむ余裕なんてなかった。