傷だらけの君は
「紅?どうした?......一度家に帰ろうか。実は京を離れるつもりなんだが、まずは我が家でゆっくり話そう」
父様はあたしの顔を覗き込んで再び歩き出した。
繋がれた手は、こんな時でも温かいと感じてしまう。
......違う。あたしはもっと、温かい手を知っている。
お団子を差し出してくれた手。
頭を撫でてくれた手。
あたしを励ましてくれた手。
......あたしのおでこに優しく触れてくれた、沖田さんの手のひら。
温かい言葉で、行動で、あたしの成長を見守っていてくれたあの人たちが。
もうあたしにとってなくてはならない存在だった。
「人斬り集団なんかじゃない......酷くなんてされてない」
「え?」
立ち止まったあたしを父様が引っ張るけれど、絶対に動くまいと足に力を入れる。
『けどな、一番大切なことを紅はできていない』
『......わがままを言うこと』
「――――やだっ!帰りたい!」