傷だらけの君は
「べ、紅......?だから今から俺たちの家に、」
「行きたくないの!もうあの家には行きたくないっ」
そう、あたしが帰りたいのはただ一つだけ。
橋にはいつのまにかあたしたちを囲むように人だかりができ始めていた。
周りから見ればあたしたちはただの親子喧嘩?
......ううん、あたしと"この人"は親子じゃない。
「じゃあ一体、どこに行くっていうんだ......」
「新選組!あたしの帰る場所はそこだけなの」
「馬鹿を言うな!お前、なんのために俺が手間ひまかけて育ててやったと思って......」
「馬鹿を言ってるのはそっちじゃない!あたしは道端で拾ったんでしょう?赤の他人なんでしょう?なんで嘘をついていたの。あたしを騙したの!」
心の内側に秘めていた思いが溢れ出る。
もっともっと、言ってやりたかった。
こんなこと言ったら怒られるって分かっていてももう我慢できなくて。
「お父さんが本当の父親なら、あたしのお母さんはどこなの!?お母さんに会わせてよっ」
「父様と言えと言っているだろう!それに"あたし"なんて汚い言葉遣いを......" 私" だと何度言えば分かるんだ」
「"あたし"はあたしなりの精一杯の反抗だった。父様はなんにも分かってなかった!理解しようとしてくれなかった!!」
いくら投げかけても、投げかけても、足りなかった。
「あたしが売られたとき、なんですぐに迎えに来てくれなかったの!?
ずっと……待ってたんだよ、あたし、
父様のこと信じて待ってたの!!」
ずっと胸のなかを支配していた言葉が口から外へ飛びだした。
迎えに来てほしかった。
やっぱり取り消して欲しいってあたしのこと迎えに来てほしかったのに。