傷だらけの君は


「早く食わねぇと伸びちまうぞ」


「はあ......い、いただきます」


割り箸をパチンと割り、両手を合わせる。


うどんを食べるのは久しぶりだった。


しかもたぬきうどんなんて、見たことも食べたこともなかった。


とろりとした餡がうどんにからまっていて、持ち上げると結構ずっしりくる。


あ、割り箸割れそう。



「あつっ」


「ばあか、なにやってんだよ」


慌ててすすった麺はもちろん、なにも施してない。


びっくりするほど熱くて、あたしは土方さんから受け取った水を一気に飲み干した。



「く、口の中やけどしました」


「そりゃあ冷まさずにいったらそうなるわな」


「でも土方さんも、」


土方さんも冷まさずに食べてるじゃないですか。


そう言おうとして隣の器を見ると中はすでに空で、つゆの一滴すら残ってなかった。


早すぎない?いくらなんでも。


< 147 / 253 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop