傷だらけの君は
うどんがのどに詰まった。
店の人......おそらく店主も驚いたように土方さんを見やったあと、
ははっと笑った。
「土方はんが死ぬなんてありえへん。あんたんことはよう知っとるけど、風邪ひとつ引かんような男やないか」
そのとき店の奥で店主が呼ばれた。
少し迷った素振りを見せたあと、店主は奥に返事をしてくるりときびすを返した。
「なに考えてるんか知らへんけど、無茶だけはしたらあかんよ。
......まあ、あんたに無茶すんなってのは無理な話やとおもうけど。
もううちのうどん食いにこんなったら許さへんで」
「......土方さん、あたしは何があってもこのお店では働きませんからね」
店主さんが去ったあと土方さんは難しい顔をしていて、あたしがそう言うとゆっくりと目が合った。
「向かいの花売りは?」
「やりません」
「総司の好きな甘味処も?」
「はい」
「......簪、」
「土方さん!あたしはうどんも花も売らないし、甘味も簪も売りません。
新選組に居たいんです。
いつ、いかなる時でもあたしは土方さんから、新選組から離れません」
じっと目をそらさないまま、少しの時間が過ぎて、土方さんが少しだけ目を細めてゆるりと笑った。
「......お前、俺のことが好きなのか?」
「好きですよ。だから死ぬなんてこと言わないでください」