傷だらけの君は
新撰組が動き出したのは、それから数日後のことだった。
「土方さん」
ふすまを開けると、ちょうど着替えていた最中で土方さんの鍛え抜かれた身体が目に入った。
あたしは失礼します、と静かに部屋の中に足を踏み入れる。
「......いい度胸じゃねぇか」
土方さんはこちらに背を向けて、小さく舌打ちをしながら着付けをしていく。
「てめぇ、見てわかんねぇのか。俺は今着替えてるんだよ」
「着替えてどこに行くんです?」
「......お前の知らないところだ」
「古高さんのお仲間のところですね」
そう言うと、土方さんの着付けの手がぴたりと止まって鋭く睨みつけられる。
「忘れろっつったろ」
「あたしも連れていってください」
土方さんはだめだ、と強く首を振った。
「言ったはずだ。お前をこの件に関わらせる気はねぇんだよ」
「でも」
「でもじゃねぇ。いいか?絶ッ対ついてくんじゃねぇぞ。ここで米でも研いで待ってろ」
土方さんは羽織を手に取って、部屋を出ていった。
取り残されたあたしはその浅葱色の後ろ姿をただ見つめることしかできなかった。