傷だらけの君は
おもてのほうから、いくつもの声が重なって聞こえた。
それはきっと出発の合図で、あたしはそれを山崎さんの部屋から聞いていた。
「うるっさい雄叫びやなあ」
山崎さんは肩をすくめて小さく笑った。
……たぶん、あたしに気をつかってくれている。
山崎さんはどうやら屯所に留まっておくらしく、ついさきほど部屋に呼ばれた。
特に用はないんやけど、話し相手が欲しいなと思って。
山崎さんはそう言ったけど、土方さんからの命だということはすぐにわかった。
……本当に用心深い人だ。
「なにかやることはありませんか?」
「ん、あ……ああ、じゃあ薬の整理を頼んでもええか?」
山崎さんの言葉に頷く。
動いているだけで気が紛れる、あたしは薬箱に手を伸ばした。