Silver Night-シルバーナイト-
シルバーナイトのメンバーのクラスを全て回りきる頃には、私と佑衣の両手は食べ物や飲み物 ゲームの景品なんかでいっぱいで、
「うわ、すげェ人」
颯達のバンドを見に中庭へ移動したのは良いものの……その人数の多さに絶句した。
颯達も人気なんだ。
まぁ確かに颯って何だかヤンチャで無邪気な感じが可愛いのかもしれない。
「莉愛!前の方行こうよ!!」
両手いっぱいにお好み焼きやらチョコバナナなんかを持った佑衣が飛び跳ねながら、私をキラキラとした瞳で見つめてくる。
行きたい。
そりゃあ颯達のバンド姿を近くで見たい気持ちは大いにある。
だけど……
「私はこのへんで見てるよ」
この大混雑の中、食べ物を両手に持ったままあの集団へと混ざる勇気はない……。
「えー行かないのー!?」
「まだこれも食べてる途中だし、荷物持ってあげるから佑衣は行ってきなよ」
自分の食べかけのたこ焼きを指差しながらそういうと、佑衣は残念そうにため息を吐き出した後、持っていたビニール袋達を私に手渡す。
「わかった…悠君と琉聖は行くでしょ?」
「あんな混んでるところ行かねェよ」
「えー行こうよ!!」
「俺は行っても良いよ、佑衣一人だと迷子になりそうだし」
「さすが悠君!ねぇ琉聖も行こうってばー!!」
「やだ」
「行こう!行こう!行こう!行こう!!!」
ダダをこねるように琉聖の腕をバンバンと叩く佑衣に対して、琉聖は怪訝そうな顔を最初はしていたのだけれど、あまりのしつこさに諦めたのか「分かったよ」と大きなため息を吐き出した。