Silver Night-シルバーナイト-
待ってるときっと聖に気を使わせてしまう…急かすのも嫌だし。私は少し考えたあと
「大丈夫だよ、先に帰ってる」
「本当に平気か?」
「うん、さすがに二週間もたてば慣れてきたよ」
家の事よりも。どちらかというと問題は、一人で登下校をしないという約束を破ってしまうこと。
だけど、今までだって何にもなかったんだし、たった1日一人で帰宅するくらい大丈夫だよね。
「分かった、気を付けて帰れよ。なるべく早く帰るようにするから」
「はーい、気を付けて帰ります」
聖をこれ以上心配させないように笑って見せると、彼も優しく微笑んだ後忙しなく教室へと戻って行った。
一人での下校なんていつぶりだろうか。
あの…黒雅の人達が待ちぶせしていた時依頼かな…
あの時は確か私が男の人を蹴り飛ばして琉聖がしつこいくらいに笑ってたっけ。
今になって、そんな事ですら懐かしい。
私は机の横に引っ掛けていた鞄を取ると、そのまま教室を後にした。