冷徹皇太子の溺愛からは逃げられない
「ですが、“そんな娘”を持つ羽目になる父が気の毒で、申し訳なく思います。落ち込んでしまいそうで心配だわ……」

「そうならないように、殿下は事情説明と結婚の承諾をいただくため、エヴェレット侯爵を訪ねる予定でいらっしゃいます。セオドール様が即位なされても、ウォルフレッド殿下は先の王であり、親代わりです。その尊厳が失われることはありません。セオドール様は必ずや王家の直轄領のいずれかを殿下にお任せになり、不自由ない穏やかな暮らしを約束してくださることでしょう」

 夫になる者の身分がどうであろうとフィラーナ自身は気にしていなかったが、父を安心させることができるのなら、やはりその肩書きは必要不可欠と言えそうだ。

「ご納得、いただけましたでしょうか?」

 レドリーが少し心配そうにフィラーナの顔色を窺う。

「……わかりました。こんな私でもセオドール様をお守りすることに一役買えるのでしたら、光栄です。そしてウォルフレッド殿下のお力になれるのなら」

 すべて上手く事が運ぶよう天に祈る一方、こうなったら秘密を共有した者として一緒に戦う心意気である。フィラーナは自分自身を鼓舞するように、力強く頷いた。
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