冷徹皇太子の溺愛からは逃げられない


 フィラーナが城に移って三週間。あれから城内でグランと出くわすことはなく、ウォルフレッドの身にも特に危険な兆しは見えず、すべてが杞憂のように平穏な日々が流れていった。

 そんな中、嬉しい出来事といえば、ルイーズが時折フィラーナを訪問してくれることである。

 提案通り、ウォルフレッドは日中、フィラーナとの接触は避けている。その為、彼女が寂しがることのないように、友人のルイーズの登城を特別に許可したのだ。

 ルイーズの実家であるコーマック男爵家も小さな領地を有してはいるが、一年のほとんどを王都屋敷で過ごしているため、ルイーズ自身いつでもフィラーナに会いに来やすい環境にあった。

 フィラーナもただルイーズと部屋で過ごすだけでなく、たまに庭園を散歩したりと外に連れ出すことも欠かさない。それはルイーズをセオドールに会わせる時間を作るためだった。セオドールもルイーズが来る日は外に出てきて、三人で東屋でおしゃべりを楽しむ。しばらくするとフィラーナが、その辺を散策してくる、と護衛のユアンを伴ってさりげなくその場を離れるのだ。

「ごめんなさい、私ばかり楽しい時間を過ごして……。フィラーナは王太子殿下とあまり上手くいってないんでしょう?」

 ある日の帰り際、ルイーズが伏し目がちに謝ってきた。

「え、えっと、大丈夫よ。ほら、殿下は前からあんな感じだったじゃない」

「でも興味がないなら、フィラーナを早く解放してあげるべきだわ。ずっとここに閉じ込められていたら、せっかくの美しい花も枯れてしまうわ」

 
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