冷徹皇太子の溺愛からは逃げられない
それにしてもここは一体どこなのか。目覚めかけていた時、馬車の振動のような揺れを感じていたから、おそらく王城の外だ。
もし自分を拐った連中と遭遇しても、動きにくいこの格好ではいくら剣を携えていたとしても十分な力は発揮できない。剣はあくまで護身用で、今は闘うより、いち早くここを脱することに専念しなくては。
それに、ルイーズはどうしただろう。最後に聞いた謝罪の言葉の裏には何が隠されているのか。
フィラーナは剣を構えながら、辺りを警戒しつつ薄暗い廊下を進んだ。湿気を含んだひんやりとした空気を感じるに、おそらくここは地下だ。
やがて上へと延びる階段へたどり着き、フィラーナが慎重に昇っていくと、小さな格子窓から漏れるわずかな陽光に照らし出された石造りの通路が、その先に続いていることを確認できた。
(誰もいないのね……これなら、案外外に出るのは簡単かも……?)
足音を立てずに通路を進んでいた時、急に曲がり角から黒いフードを被った男が姿を現した。
「……っ!」
逃げ場もなく、フィラーナは諦めたように息を吐き出すと剣を構え直し、対峙する。
「……捕らえた女か」
男も一瞬驚いたようだったが、すぐに優越感を露にした。薄く笑いながら腰の剣を抜き、ゆっくりとフィラーナに近づいてくる。
「そんな物騒な物、お嬢ちゃんには似合わないぜ。おとなしくしときな」
フィラーナは無言で唇を噛んだ。
油断していた。ーーこの場合、確実に男の方が。
もし自分を拐った連中と遭遇しても、動きにくいこの格好ではいくら剣を携えていたとしても十分な力は発揮できない。剣はあくまで護身用で、今は闘うより、いち早くここを脱することに専念しなくては。
それに、ルイーズはどうしただろう。最後に聞いた謝罪の言葉の裏には何が隠されているのか。
フィラーナは剣を構えながら、辺りを警戒しつつ薄暗い廊下を進んだ。湿気を含んだひんやりとした空気を感じるに、おそらくここは地下だ。
やがて上へと延びる階段へたどり着き、フィラーナが慎重に昇っていくと、小さな格子窓から漏れるわずかな陽光に照らし出された石造りの通路が、その先に続いていることを確認できた。
(誰もいないのね……これなら、案外外に出るのは簡単かも……?)
足音を立てずに通路を進んでいた時、急に曲がり角から黒いフードを被った男が姿を現した。
「……っ!」
逃げ場もなく、フィラーナは諦めたように息を吐き出すと剣を構え直し、対峙する。
「……捕らえた女か」
男も一瞬驚いたようだったが、すぐに優越感を露にした。薄く笑いながら腰の剣を抜き、ゆっくりとフィラーナに近づいてくる。
「そんな物騒な物、お嬢ちゃんには似合わないぜ。おとなしくしときな」
フィラーナは無言で唇を噛んだ。
油断していた。ーーこの場合、確実に男の方が。