冷徹皇太子の溺愛からは逃げられない
「おしゃべりが過ぎたな。予定外だったが、駒は多い方がいい。お前には穏便にことを運ぶための人質になってもらうぞ」
「王太子の座を明け渡す要求の際に、私を使おうとでも言うの? あいにく、殿下はそんな肝っ玉の小さな人じゃないわ。私の命ぐらいで、悪党どもにこの国の将来を渡すものですか」
「じゃあ、試してみるか。お前の命とはいかなくても、その腕の一本、斬り落として送りつけても、あの男が果たして冷静を保っていられるか。……サイモン」
グランの命令で、サイモンがゆっくりと動き出す。弾かれたように顔を上げたルイーズが「やめて!」とサイモンの腕を掴んだが、非情にも振り払われ、身体が床に叩きつけられる。
サイモンの剣先が鈍い光を放つのを見ながら、フィラーナは観念したように瞳を閉じた。
思い浮かぶのは、仏頂面で不機嫌でぶっきらぼうなのに、本当はとても優しくて、不器用ながらも自分を大事にしてくれるウォルフレッドのこと。一緒に過ごしたのは短い期間だったが、彼が王太子としてこの国のために力を尽くしていることは、十分に感じることができた。これからもきっと、この国をいい方向へと導いてくれるだろう。
だからこそ、自分の存在のせいでその志を断たせてはいけない。自分が足枷になるようなことは、絶対にあってはならない。
敵に利用されるくらいなら……舌を噛んで自ら命を絶とう。
(ウォル……私、あなたに会えてよかった……あなたを愛して、幸せだった……)
「王太子の座を明け渡す要求の際に、私を使おうとでも言うの? あいにく、殿下はそんな肝っ玉の小さな人じゃないわ。私の命ぐらいで、悪党どもにこの国の将来を渡すものですか」
「じゃあ、試してみるか。お前の命とはいかなくても、その腕の一本、斬り落として送りつけても、あの男が果たして冷静を保っていられるか。……サイモン」
グランの命令で、サイモンがゆっくりと動き出す。弾かれたように顔を上げたルイーズが「やめて!」とサイモンの腕を掴んだが、非情にも振り払われ、身体が床に叩きつけられる。
サイモンの剣先が鈍い光を放つのを見ながら、フィラーナは観念したように瞳を閉じた。
思い浮かぶのは、仏頂面で不機嫌でぶっきらぼうなのに、本当はとても優しくて、不器用ながらも自分を大事にしてくれるウォルフレッドのこと。一緒に過ごしたのは短い期間だったが、彼が王太子としてこの国のために力を尽くしていることは、十分に感じることができた。これからもきっと、この国をいい方向へと導いてくれるだろう。
だからこそ、自分の存在のせいでその志を断たせてはいけない。自分が足枷になるようなことは、絶対にあってはならない。
敵に利用されるくらいなら……舌を噛んで自ら命を絶とう。
(ウォル……私、あなたに会えてよかった……あなたを愛して、幸せだった……)