冷徹皇太子の溺愛からは逃げられない
城本館とは別の棟とは言えども、さすがは王家の所有であるだけに、ここ離宮の応接室内に設置されたシャンデリアやソファなどの調度品は、超一流がつくほどの高級品で取り揃えられている。
そして、広い部屋中央のソファに、腕組みをしたままウォルフレッドは座っていた。その傍らには側近のレドリーが立っている。ウォルフレッドとふたりきりでなかったことにフィラーナは心底安堵したが、すぐに視線を下に向け、しずしずと少しだけ歩を進める。
(落ち着くのよ、私。“ライラ”とは別人の淑やかな女性を演じるのよ……!)
自分に言い聞かせながら作法通りにドレスを持ち上げ、深く膝を折って頭を下げた。
「エヴェレット領リシュレーから参りました、フィラーナ・エヴェレットと申します。殿下のご尊顔を拝し、身に余る光栄でございます」
「堅苦しい挨拶はいい。面を上げて、前に座れ」
ウォルフレッドの支持に従い、フィラーナは体勢を元に戻す。しかし、視線は下に向けたまま、テーブルを挟み向かい合う形でソファに静かに腰掛けた。
全身に受ける強すぎる視線の発信源は、間違いなくウォルフレッドだ。気になってチラリと視線を上げると、思った通り、水色の双眸がじっとこちらを見つめている。無表情なので感情が読み取とることは叶わなかったが、整った顔立ちゆえに無言でいられると正直なところ、恐怖しか感じない。
だが、ここで怖じ気づく方が、かえって不自然な態度として相手の目に映るかもしれない。フィラーナはぎこちなく微笑んでみせたが、ウォルフレッドの表情に変化は見られなかった。しばらくそうしていたが間が持たず、結局フィラーナの方が先に視線を下に向けてしまった。
そのまましばらく沈黙が部屋の空気中を漂う。フィラーナは俯いたままじっとしていることしか出来ない。
そして、広い部屋中央のソファに、腕組みをしたままウォルフレッドは座っていた。その傍らには側近のレドリーが立っている。ウォルフレッドとふたりきりでなかったことにフィラーナは心底安堵したが、すぐに視線を下に向け、しずしずと少しだけ歩を進める。
(落ち着くのよ、私。“ライラ”とは別人の淑やかな女性を演じるのよ……!)
自分に言い聞かせながら作法通りにドレスを持ち上げ、深く膝を折って頭を下げた。
「エヴェレット領リシュレーから参りました、フィラーナ・エヴェレットと申します。殿下のご尊顔を拝し、身に余る光栄でございます」
「堅苦しい挨拶はいい。面を上げて、前に座れ」
ウォルフレッドの支持に従い、フィラーナは体勢を元に戻す。しかし、視線は下に向けたまま、テーブルを挟み向かい合う形でソファに静かに腰掛けた。
全身に受ける強すぎる視線の発信源は、間違いなくウォルフレッドだ。気になってチラリと視線を上げると、思った通り、水色の双眸がじっとこちらを見つめている。無表情なので感情が読み取とることは叶わなかったが、整った顔立ちゆえに無言でいられると正直なところ、恐怖しか感じない。
だが、ここで怖じ気づく方が、かえって不自然な態度として相手の目に映るかもしれない。フィラーナはぎこちなく微笑んでみせたが、ウォルフレッドの表情に変化は見られなかった。しばらくそうしていたが間が持たず、結局フィラーナの方が先に視線を下に向けてしまった。
そのまましばらく沈黙が部屋の空気中を漂う。フィラーナは俯いたままじっとしていることしか出来ない。