冷徹皇太子の溺愛からは逃げられない
 廊下を数歩進んだところで、フィラーナはホッと胸を撫で下ろした。

 追及は免れたし、いつでも帰っていいという許可まで出た。早急に妃候補から外れるのも間違いないだろう。全てが望む形となり、フィラーナはその場で小躍りしたい気分だった。

 だが、最後に見たウォルフレッドの顔が脳裏をかすめる。

(どうしてあんな顔するのよ……)

 わけがわからない分、気になってしまう。しかし、彼は二度とフィラーナと会う気はないのだろう。蔑むような発言をし、いつでも出ていけと言い放った。

 フィラーナは拒絶されたのだ。

(……嫌われちゃったかな……)

 これで良かったはずなのに。

 胸の奥に生じ始めたかすかな痛みが何なのか、フィラーナ自身も理解できずにいた。
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