冷徹皇太子の溺愛からは逃げられない
「殿下はあなたを守れないのなら、この王宮から出そうとお思いなのです。もちろん、これまで他者を蹴落とそうとする令嬢同士のいざこざはありましたが、殿下は一切関わりを持たず、そのうち何もしなくても離宮から人影は消えていきました。そんな殿下があえてあなただけを帰すと言及なさったのです。あなたの身の安全が最優先だとお考えなのでしょうが、それだけではありません」
「……他にも何か……?」
フィラーナが首を傾げると、レドリーは一呼吸ついたのち静かに口を開いた。
「はい。殿下は恐れていらっしゃるのだと思います。そばに置き続けることであなたが特別な存在になってしまうことに……手放せなくなる日が来ることに。ですので今ならまだ間に合う、と」
「えっ……」
『特別な存在』という響きに、フィラーナの潜在的な乙女心が大きく揺れ始め、胸の奥が落ち着かなくなる。だがすぐにこの感情を素直に受け止めることを躊躇してしまう。これはあくまで端から見ていた近しい者の見解であって、当の本人からの直接的な言葉ではないのだから。
複雑な表情を浮かべたまま黙りこんでしまったフィラーナに、レドリーは申し訳なさそうに眉尻を下げる。
「突然こんな話をしてしまい、混乱させてしまったことをお詫びします。ですが、フィラーナ様にはこれまでここに来た令嬢の方々にはない何かを私は感じております。もし、あなたに離れられたら殿下は二度と女性に心を開くことはないでしょう。フィラーナ様、どうかこれからも殿下のおそばにいていだだけないでしょうか?」
「……他にも何か……?」
フィラーナが首を傾げると、レドリーは一呼吸ついたのち静かに口を開いた。
「はい。殿下は恐れていらっしゃるのだと思います。そばに置き続けることであなたが特別な存在になってしまうことに……手放せなくなる日が来ることに。ですので今ならまだ間に合う、と」
「えっ……」
『特別な存在』という響きに、フィラーナの潜在的な乙女心が大きく揺れ始め、胸の奥が落ち着かなくなる。だがすぐにこの感情を素直に受け止めることを躊躇してしまう。これはあくまで端から見ていた近しい者の見解であって、当の本人からの直接的な言葉ではないのだから。
複雑な表情を浮かべたまま黙りこんでしまったフィラーナに、レドリーは申し訳なさそうに眉尻を下げる。
「突然こんな話をしてしまい、混乱させてしまったことをお詫びします。ですが、フィラーナ様にはこれまでここに来た令嬢の方々にはない何かを私は感じております。もし、あなたに離れられたら殿下は二度と女性に心を開くことはないでしょう。フィラーナ様、どうかこれからも殿下のおそばにいていだだけないでしょうか?」