冷徹皇太子の溺愛からは逃げられない
「それでは殿下は、とても寂しい思いをされてきたのですね……」
フィラーナはうつむき、膝の上に視線を落とす。知らず知らずのうちに、ウォルフレッドと自分を重ね合わせていた。自分も幼くして母を亡くし、寂しくて寂しくてたまらなくて、夜になると泣きながら母を呼び続け、屋敷の中を徘徊していた。
「それがですね、そうでもないようなんです」
「えっ……?」
レドリーの予期せぬ返事にフィラーナはパッと顔を上げ、きょとんと首を傾げる。
「先述の通り、我が家はお母上の“義理の実家”ですから、入城許可が下りていて小さい頃から殿下と過ごす時間が多くありました。殿下は昔からあんな感じで……あまり表情を表に出さないですし、尊大かと思えば淡々としていて子供らしくないというか……私も気になって聞いてみたんです。寂しいのに無理をしていないか、と。今思い出すと大変恥ずかしいのですが、私も子供でしたし、何とか年上らしく振舞いたくて背伸びしようといていたんだと思います」
苦笑いをしながら、レドリーが額に手を当てる。
「すると、突然目を吊り上げた殿下に『余計なお世話だ』と思い切り頭突きをされました。本人が言うには『最初からいないので寂しいとかよくわからない』のだそうです。『それなのに勝手に気の毒に思われて迷惑だ』と。強がりかとも思いましたが言われてみればそうなのかと納得しました。『だけどお前やユアンがいなくなったら寂しい、だからどこかに行ったら承知しない』と言われたことは今でも忘れません」
レドリーは懐かしむように、口元をフッと綻ばせた。
フィラーナはうつむき、膝の上に視線を落とす。知らず知らずのうちに、ウォルフレッドと自分を重ね合わせていた。自分も幼くして母を亡くし、寂しくて寂しくてたまらなくて、夜になると泣きながら母を呼び続け、屋敷の中を徘徊していた。
「それがですね、そうでもないようなんです」
「えっ……?」
レドリーの予期せぬ返事にフィラーナはパッと顔を上げ、きょとんと首を傾げる。
「先述の通り、我が家はお母上の“義理の実家”ですから、入城許可が下りていて小さい頃から殿下と過ごす時間が多くありました。殿下は昔からあんな感じで……あまり表情を表に出さないですし、尊大かと思えば淡々としていて子供らしくないというか……私も気になって聞いてみたんです。寂しいのに無理をしていないか、と。今思い出すと大変恥ずかしいのですが、私も子供でしたし、何とか年上らしく振舞いたくて背伸びしようといていたんだと思います」
苦笑いをしながら、レドリーが額に手を当てる。
「すると、突然目を吊り上げた殿下に『余計なお世話だ』と思い切り頭突きをされました。本人が言うには『最初からいないので寂しいとかよくわからない』のだそうです。『それなのに勝手に気の毒に思われて迷惑だ』と。強がりかとも思いましたが言われてみればそうなのかと納得しました。『だけどお前やユアンがいなくなったら寂しい、だからどこかに行ったら承知しない』と言われたことは今でも忘れません」
レドリーは懐かしむように、口元をフッと綻ばせた。