【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら

「あの。部長……乾かします!ちゃんと!」
怒った?なんで?私が髪乾かさないからって……。
訳も分からず追いかけようとすると、すぐに部長はドライヤーを持って戻ってきた。

「ほら、座って」
そう言うと、部長は当たり前のように私の後ろに入り込み、後ろから私を抱きしめるような形で、ドライヤーをかけ始めた。

「ちょと!!自分でできます!」
その状況に、これ以上ないほど私は慌てて振り返った。

そんな私の首をグイっと前に戻して、優しく髪に触れると、部長は上から声を発した。
「いいから。お前がやるといつも適当だから。きちんと乾かさないと風邪ひく」

「今は短いからそんなこと……」
そこまで言って、私は言葉を止めた。

「もう伸ばさないの?」
不意に言われた言葉に、私はどう返事をしていいかわからず、俯いた。

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