【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
「あの言葉は、もちろん他の女に興味もなかったし、断る口実だった。それに、あの時浮かんだのは、どんなに憎んでも俺の心から出て行ってくれない、沙耶の事を思い浮かべてた」
部長の言葉に、また涙が零れ落ちる。
部長の優しが自分に向けられていたと分かり、今まで凍り付いていた心の中が温かくなっていく。
「日名子は……ただの幼馴染だ。小さいころからよく俺の後ろをついて歩いていた妹みたいなもで……。あの時も、ただ一緒にいるように見せかけたらいいって日名子がいったから一緒にいただけで、誓って男女の関係になんてならない。俺にとって日名子は恋愛対象じゃないから」
私の頬に触れたまま、縺れてしまった糸をほどくように、部長は日名子さんとの関係を言葉にした。