【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
「あー、長かった。やっと手に入った……」
私を胸の中に閉じ込めると、部長は大きく息を吐いた。

「本当に水田とは何もない?」

「ないですよ」
クスリと笑いをもらした私に、部長は少し拗ねたように言葉を発した。

「うそだ」

「なんで?」

え?何かあったっけ?
少し不安になって考えるも、特に何も思い出せない。

「飲み会の帰り、抱きしめられただろ?」

えっとそんなことあったっけ?

「ああ、あの時……」
ようやく部長の彼女疑惑がショックで酔ってしまった時の事だとわかり、私は納得したように返事をした。

「だろ!やっぱり!遠目からみたら抱きしめられてた!」


あれ?
こないだは羞恥で気づかなかったが、どうしてあの場面を見たのだろう?

「部長……あの時追いかけてきてくれてたの?」

「あ……」
そこでばつの悪そうな顔をして、部長は私から視線を逸らした。
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