【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら

「羽田!」
そこへすぐに部屋から出てきた部長に呼ばれて、私は慌てて顔を引き締めると席を立った。

「例のカフェの、新しいコーヒー納入の件どうなってる?」

「その件でしたら、予定通りに進んでます。来週末にも本契約に至れるかと……」

「そうか、ただ、ここの企画書のツメが甘い。もう少し他との差別化をアピールしろ」

「わかりました」
プライベートとは全く違う、真剣な表情と、するどい視線に私は気持ちを引き締める。

「相変わらず素敵ですよね」
そんな部長を横目で見ながら、満ちゃんが小さな声で囁いた。

「そうね」
私も特に何も言わず、肯定だけすると言われた報告書に取り掛かる。

「あの部長が恋人といるとどうなるんだろ?あの鋭い視線で、俺についてこいとか言ったりするんですかね?もしくはドSだったりして……もしくはめちゃめちゃ甘々……それはないか」

いきなりすごい事を言いだした満ちゃんの言葉に、私は何かを言わないとと思い、息を吸い込んで咳込んだ。
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