【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
完全に飲みすぎた友里をタクシーに乗せると、私はチラリと携帯を見た。
【楽しんでおいで】
そう書かれたメッセージに小さくため息をつく。
友里に確信をつかれた質問の答え。
それは、【わからない】だ。
あの日、久しぶりと答えた日以来、優悟君はキス以上の事をしてこない。
休日泊まったことも、一緒にベッドに眠った事もあるのに、触れてこない。
これが私のもう一つの不安。
タイミングを逃してしまったのか、私に気を使ってくれているのか……。
それとも、魅力がないのか……。
私にはわからない。
自分からまだ佐伯グループの息子という事も話してくれない優悟君に、私は幸せの反面昔とはちがう不安があるころを、優悟君は気づいているのか……。
そんなことを思いながら、私は優悟君からのメッセージに返信を打つ。
【楽しかったよ】
今から会いたい、いつもならすぐにいえそうなその言葉を、言う事が出来なくて、それだけを送るとスマホを閉じた。
友里と話して、自分の中で無理に気にしないようにしていた現実を、急に突き付けられたような気がした。