【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
優悟君自身、何から話すべきか迷っている様なその雰囲気に、私は覚悟を決めて優悟君を見た。
「どうしたの?」
「親父が倒れたんだ」
「大丈夫なの?」
想像していた言葉とは違ったが、事の重大さに気づき私は声をかけた。
「ああただ、少しの間入院が必要になって……」
命に別状もなかったようで、私もホッと息を吐いた。
「とりあえず良かった。急に?」
ずっとどこかを患っていらっしゃたのだろうか?そんな疑問が沸き上がる。
「急だと思ってた。でも少し前から心臓があまりよくなかったみたいだ」
「そうだったの」
私は優悟君の手をそっと握りしめた。
その行為に優悟君が私の顔をようやく見てくれた。
不安なのか、私を見つめる瞳が揺れている。
お父様と言えばもちろん、佐伯グループの社長だ。
このことはきっと会社に重大すぎる意味を持つのは、末端の私ですら容易に想像がついて、内心バクバクと心臓が音を立てる。