【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
でも、今一番不安なのも、心配なのも優悟君だろう。
必死にその気持ちを押し殺して、優悟君の手を握りしめた。
「沙耶……。ごめん」
その言葉に、私は最悪のシナリオが頭に浮かぶ。
日名子さんとの政略結婚?私みたいな一般人とは別れろ?
「なんで謝るの?」
静かに聞いた私の言葉に、優悟君は私の手を引くとギュッと抱きしめた。
「俺、ずっと沙耶にいっていない事があるんだ」
私は優悟君の腕の中で、ただ優悟君の言葉をまった。
「俺の親父は、佐伯浩一郎、佐伯グループの社長なんだ」
静かにいったその言葉に、私は知らず知らず言葉を重ねていた。
もしかしたら、別れの言葉を言われるのかもしれないという保身から、自分でその言葉を口にしていた。