【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら

でも、今一番不安なのも、心配なのも優悟君だろう。
必死にその気持ちを押し殺して、優悟君の手を握りしめた。

「沙耶……。ごめん」

その言葉に、私は最悪のシナリオが頭に浮かぶ。
日名子さんとの政略結婚?私みたいな一般人とは別れろ?

「なんで謝るの?」
静かに聞いた私の言葉に、優悟君は私の手を引くとギュッと抱きしめた。

「俺、ずっと沙耶にいっていない事があるんだ」

私は優悟君の腕の中で、ただ優悟君の言葉をまった。

「俺の親父は、佐伯浩一郎、佐伯グループの社長なんだ」
静かにいったその言葉に、私は知らず知らず言葉を重ねていた。

もしかしたら、別れの言葉を言われるのかもしれないという保身から、自分でその言葉を口にしていた。
< 185 / 287 >

この作品をシェア

pagetop