【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
「だから、私みたいな普通の女とは別れなきゃいけないの?」
その言葉に、優悟君は驚いたように目を見開いた。
「なんでそうなるんだ!どうして沙耶と別れなきゃいかない?やっぱりそんな俺とは別れたいのか?」
「え……?」
言っている意味がわから無くて、私は優悟君を見た。
「隠していてごめん。ずっと言えなくて。俺自身その事を公にしていなかったし、いち社員として実力を試したかった。それに、兄貴が会社は継ぐし、親父もまだまだ現役だったから……俺まだまだ先だと思っていたんだ」
その言葉に嘘はないだろう。
日名子さんもそのような事を言っていた。
ただ、今回お父様が倒れたことで状況が変わるのだろう。
「うん」
その言葉に相槌をうった私を、優悟君はジッと見つめた。
「驚かないのか?嫌がらないのか?」
「嫌がるってどういうこと?私が?」
そう聞いた私の言葉に、優悟君は私も忘れていたことを言った。
「昔、付き合っていたころ、お金もなかったあの頃、こういう生活が幸せだねって。平凡だけど、普通の家庭がいいなって沙耶言ってただろ?」